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響け!ユーフォニアム2 第10話 「ほうかごオブリガート」 感想 本音と建前

あすか先輩が遂に部活に戻ってきました!麻美子さんの問題も解決し、やっとひと段落して落ち着いたのを感じています。EDのヴィヴァーチェが染みる染みる。

6話から始まり10話まで、とても楽しい1ヶ月でした。

 

前回9話ではあすか先輩は久美子を家に招き、自分の家の事を打ち明けました。

久美子はそれでもあすか先輩が好きだといい、あすか先輩は救われたのです。

 

そして10話ほうかごオブリガート

久美子を家に呼びましたが、依然として部活を辞めるという心は変わりませんでした。

オブリガートは演奏上不可欠な助奏の事で、台所での麻美子とのやりとりを指しています。あすか先輩という主旋律に対して久美子が本音をぶちまけられたのは麻美子との会話があったからなのです。「後悔のないようにね」という姉の言葉が久美子を後押ししました。

 

麻美子が家から出て行くのを久美子は寂しいと思っているのに、素直になれず本人の前で寂しいと言えませんでした。

高校生の時に親に対して変に大人ぶって素直になれなかった麻美子。変に大人ぶって寂しいと言えなかった久美子。本当は全国に行きたいのに変に大人ぶって部活を辞めようとするあすか先輩。

 

みんな高校生でまだ子供なのに変に大人ぶって、本音を我慢して、自分を押し殺す。後悔するのが薄々分かっているのに。

高校生ってこういう物ですよね。大人と子供の中間。

電車で突然泣き出すシーンはそれが凝縮されていました。

 

今回は久美子の成長物語。麻美子の事で後悔した経験はあすか先輩の時に活かされます。

 あすか先輩はなぜあれほど部活を辞めようとしたのでしょうか?

 

 ・本音と建前

人を信じるって難しい。

本音だと思っていたのが建前だったのを知ったら人は傷つく。傷つくのなんて誰もが嫌だ。

しかし他人になる事なんて不可能なんだから、他人の心なんて分かるわけがありません。確かにその人の性格や境遇をある程度知っていたり、付き合いが長かったら想像できますが、悪魔で"想像"です。経験はできない。付き合いが浅い人の心なんて、もし「自分が」その人の立場になったらどう思うかでしか考えられません。

だから他人の言っている事が本音かどうかなんて分かるわけがない。本音と建前が紛らわしい時なんて尚更です。

 

だから周りとの折り合いを付けるのに1番楽なのは、自分を押し殺す事。本音を隠して周りの意見に合わせたり、聞こえの良い意見を言ったり。周りと同じ建前を言っているのが1番楽です。「あすか先輩が部に戻ってきて来て欲しい」それが部内での空気。

 

それ故にその「戻って来て欲しい」という言葉が本当かどうかなんてのはわからないです。部活に戻りたければその言葉を信じるしかありません。たとえそれが周囲との摩擦を生むことになるのだとしても。それは心が強い人じゃないとなかなか出来ません。精神的な消耗も激しい。いろいろな経験をし、大人になるにつれてだんだんそんな冒険はしなくなっていく。誰だって無駄な衝突は避けたい。だから人を信じるのは難しい。

 

「みんな?みんなって誰?

だいたい、そのみんなが本心を言ってる保証はどこにあるの?

『あすか先輩が出た方がいい。』『あすか先輩と吹きたい』

そりゃみんなそう言うよ。だってそう言っとけば誰も傷つかない。」

 

あすか先輩は賢いからこの事を分かっている。自分が部に戻らないのが1番丸く収まると。

分かっているあすか先輩はそれを無視して我を押し通す事ができるほど強くはなかった。心が強くないのです。だから気持ちを押し殺して、自分が傷つかないよう振る舞う。自分が他の部員の立場だったら絶対嫌だ、部の為にならないと言った外的要因を建前に吹部を辞めようとします。

 

心の弱さがこの建前を生み出しています。

 

・心が強い人、弱い人

心の強弱の視点で他の登場人物を見てみましょう。

 

麗奈は心が強い人です。

心が強い人は他人から悪く言われて何とも思いません。確固たる自分を持っているから。少しは揺らぐことはありますが、基本的に悪口くらいじゃあ止まらない。

1期でのオーディションの時の彼女は強かった。自分の技術、そして考えに自信を持っていた。自分こそが正しいと。久美子の支えもあったと思いますが、自分を貫き通せたのは間違いなく彼女自身の強さです。

 

対して久美子は心が弱い人です。

1期の序盤、滝先生が部活の方針を決める為、全国を目指すか、それとも楽しくやるかで手を挙げさせるシーンがあります。

その時久美子はどちらにも手を挙げませんでした。自分の意見を示そうとしない。周りから自分がどう思われるのかをとても気にしているのが分かります。

また彼女は中学時代、先輩を差し置いて合奏メンバーに選ばれ、キツイ悪口を言われました。その事がトラウマになっているせいか、1期の時の夏紀とのやりとりはそれはもうおっかなびっくりと言った感じでした。

 

久美子とあすか先輩はこの心が弱い点でよく似ています。

 

 

久美子とあすか

久美子が北宇治に進学した理由は中学時代の知り合いが誰もいない所で一から始めたかったからです。それは、周りに流される自分を変えたいと思う気持ちがどこかにあったからなのではないでしょうか?

久美子は麗奈と出会うことで変わっていきます。低音パートの仲間にも恵まれどんどん自分を出せるようになっていきます。

 みぞれの時もそうです。中学時代の久美子じゃあそこまで頑張れなかったでしょう。

 

けれど肝心な所で踏み込めなかった。傍観者になってしまった。

「気になって近づく癖に、傷つくのも傷つけるのも怖いからなあなあにして、安全な場所から見守る。そんな人間に相手が本音を見せてくれてると思う?」

同じく他人に踏み込めないあすか先輩にはしっかり見抜かれていました。あすか先輩と久美子はこういう所で似た者同士です。

久美子は止まってしまう。このままでは今までの自分と同じ。

「まああんたもさ、後悔のないようにしなさいよ」

フラッシュバックした麻美子のこの一声が最後の後押しをします。

他人に近づけなかった久美子が境界線を越えた。

だからこそ、心が叫ぶあのシーンがより感動的になるのです。

 

・雑記

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久美子をきつく言いくるめた直後のあすか先輩の緩んだ表情。後輩の久美子を大切に思っている気持ちが伝わってきて好きなカットでした。