響け!ユーフォニアム2 第11話 「はつこいトランペット」 感想 麗奈の力強さ
9話で滝先生の机に置いてある写真から終に奥さんの存在に気付いてしまった麗奈。
今回は麗奈の初恋が終わってしまうお話です。
一応9話から伏線が張ってあったとはいえ、30分で失恋から立ち直った麗奈の力強さには憧れます。
麗奈の揺れ動く瞳が何度も出てきて印象的な回でした。
・悲嘆(mourning)の4段階
人は愛する対象(家族や恋人、友人など)の喪失に直面した時、深い悲しみに襲われます。喪失とは死や生き別れの事です。もちろん失恋も。精神分析学者のジョン・ボウルビィはその時の心的プロセスを4段階に分けて説明しています。
[ジョン・ボウルビィ(John Bowlby,1907-1990)のモーニング(喪)の四段階論と対象喪失の受容と回復]: Keyword Project+Psychology:心理学事典のブログ
簡単に言うと、
① 混乱、否認
② 怒り、執着
③ 絶望、抑うつ
④ 再建、離脱
の4段階となっています。数字順に気持ちが変化していく。
11話はこの4段階を綺麗にまとめています。
・大吉山再び
「新世界より」を吹いた時以来の麗奈の絶叫。抑えきれない気持ちを受け止めるのはやはり久美子の役割です。
夏祭りの時は連星が輝いてましたが今回は満月。麗奈が一人で悲しんでいたのが伝わってきます。
この1期を彷彿とさせる演出、久美子と麗奈が春からずっと一緒に過ごしてきたの感じさせます。最後の久美子の腕時計はその時間の象徴。
”怒り”という感情は理屈ではなかなか説明できない事もあるとても人間らしい感情です。
麗奈は怒っていましたが、それがちゃんと自分勝手なものだと分かっていました。けれども自分ではどうしようもなかった。
だから久美子が傷つけたくなかったからと言った時、麗奈は知ってたと返します。
久しぶりの会話。
久美子は麗奈が傷付いてたのを知り、麗奈は自分の動揺や不安を素直に久美子に語っていきます。
麗奈は山頂でこう語っていました。
私さ、自分の弱さにびっくりした。
奥さんが居たって聞いたとき、ヤバいくらい動揺して。
私、何で気付けなかったんだろう。
お母さんにも何で今まで何も教えてくれなかったのって八つ当たりして。
彼女は奥さんの話を聞いた後、混乱してそれが母や久美子への怒りに変わって行ったのです。そして大吉山での久美子とのやり取りは怒りから絶望、抑うつへと至る過程となります。
・集中できない麗奈
過去の思い出に浸っていた麗奈を引き戻すのは滝先生が手をたたく音。ここでも時計やメトロノームと言った時間(過去)を感じさせる物が出てきます。今回は時間が一つのキーポイントです。
あれだけ完璧な麗奈が演奏に集中できていない。彼女は自分の気持ちにまだ整理がつかず、落ち込んでいるのです。絶望とまでは行ってないと思いますが、軽いうつ状態です。
優子先輩が心配して声をかけますが、悩みを打ち明けることはない。麗奈が本音を打ち明けるのは久美子だけ。
・滝先生とのやりとり
ここから再建段階へシフトしていきます。
この状態を脱するには奥さんを受け入れるしかない。
そのためには奥さんがどんな人物だったのかを知らなければならない。麗奈は傷つくのを承知で滝先生に直接聞きに行きます。滝先生の奥さんの事をとても懐かしそうに話す様子から、今でも彼の中では奥さんが大切な存在として”生き続けている”のが分かります。彼が奥さんの事について何か話す度、あの橋の上の時と同じ腕時計が視界に入る度、麗奈は傷ついたでしょう。
立ち直るために一度それまでの自分の思いを全部壊して、一から作り上げていく。とても麗奈らしいまっすぐなやり方。
・お墓参り
気持ちの整理がついた麗奈はとうとう滝先生の奥さんのお墓参りをします。
お墓参りは勿論奥さんに会いに行く為ですが、これまでの自分との別れを象徴するシーンでもあります。
新山先生から無理言って聞き出してくる行動力。つくづく麗奈らしい。
私、前から思ってたの。
どうしてもっと早く生まれてこなかったんだろうって。
私だけ時間が進むのが早ければいいのにって。
早く大人になって滝先生に追いつけばいいのにって。
時間は皆平等に与えられる。一人だけ早く進める事なんてできない。それも表すためのあの腕時計だったんでしょうね。
雲は晴れ、朝日が差し込む。
初恋は終わり、ここから麗奈の新しい曲が始まるのです。
・雑感
小学生の麗奈可愛いいいいいいいい。帽子をちゃんとかぶってるのが育ちの良さを感じさせてgood!まさかここまで遡ってくれると思ってなかったから超嬉しかったです。
あすかが成長してるのも見られたし、優子の優しさもしっかり見れて良い回でした。